ビューティフルな気持ち (a.y)

37号 はじめましてのことば

ロサンジェルスできみを想いながら/ベッドに入る/さっきおしっこをする時に/自分のおちんちんをよく見たんだ/かわいかった/今日これがきみの中に/二度入ったんだと考えると/ビューティフルな気持ちになる
(リチャード・ブローディガン『ビューティフルな詩』より)

数年前この詩を読んだとき、外国文学も読めると思った。作家ではない人の言葉(翻訳)に信頼なんておけない、そう思っていたけれど。この詩の裸の感情(かわいい!)は、あまりに率直過ぎて英語/日本語の言語の壁を軽々と飛び越える。いや、もちろん個人の感情や思考というものがそっくりそのまま言葉に託せない以上(そう思っている。だから言葉って美しい!)“言葉の壁”というのは存在するのだけど、それはガイブンに必然的に存在するというわけではなくって、日本語の小説にだって日本人である私達との間には“言葉の壁”があると思う。

この詩が詠う“ビューティフルな気持ち”、読書を通してそんなものに触れたいと思ってきた。それは「喜び」だったり「楽しさ」だったり、はたまた「せつなさ」だったり「悲しみ」や「孤独」…つまり、ページをめくるその一瞬一瞬に、そんな“世界の秘密”を垣間見たいと思う。

というわけで、新参者a・yですがここでは外国文学を中心にとりとめなく紹介させてもらいたいと思います。今号のテーマ「あひる」とは…関係無くてすまんです。

リチャード・ブローティガン
藤本 和子
新潮社
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